「過活動膀胱ブログシリーズ」【第7回】 薬物治療の違い、わかりやすく解説します
過活動膀胱(OAB)の治療には、生活習慣の見直しや膀胱訓練などの行動療法に加えて、
薬物療法(内服治療) が大きな役割を果たします。
今回は、患者さんから最も質問の多い
「抗コリン薬」と「β3作動薬(ベータスリー作動薬)」
の違いについて、できるだけわかりやすく解説します。
1. 過活動膀胱の薬は主に2種類
過活動膀胱の薬は大きく分けて次の2種類です。
① 抗コリン薬(膀胱の過敏性を抑える薬):尿意の「急にトイレに行きたい!」という状態を抑えて、膀胱の緊張を和らげる薬。
② β3作動薬(膀胱をゆるめて容量を増やす薬):膀胱をリラックスさせて、尿をためやすくする薬。
どちらも尿意切迫・頻尿・夜間頻尿を改善するための重要な治療です。
2. 抗コリン薬:こんな特徴があります
✔ こんな仕組み
膀胱の筋肉(排尿筋)が過剰に収縮するのを抑えることで、尿意が落ち着きやすくなります。
✔ 期待できる効果
尿意の強さが和らぐ・トイレの回数が減る・夜間の尿意が軽くなる
✔ よくある副作用(個人差あり)
口の渇き・便秘・目のかすみ・認知機能への影響がごく少量報告(高齢者では慎重に使用)
✔ どんな人に向いている?
比較的若い方・尿意切迫が強い方・便秘が少ない方
3. β3作動薬:こんな特徴があります
✔ こんな仕組み
膀胱をゆるめて容量を増やし、尿をためられる時間を長くします。
✔ 期待できる効果
頻尿改善・尿意切迫改善・夜間の中途覚醒が減る
✔ 副作用は?
比較的少ない・軽い動悸を感じることがある・心臓の薬を飲んでいる方は調整が必要な場合あり
✔ どんな人に向いている?
高齢の方・副作用が心配な方・便秘がある方・抗コリン薬があわなかった方
4. 迷ったら「併用」という選択肢もあります
抗コリン薬とβ3作動薬は、
一緒に使うとさらに効果が高まる という研究結果が多数あります。
✔ 尿意切迫が強い
✔ 夜間頻尿がつらい
✔ 薬を1種類だけ使っても改善が不十分
⇒このような場合、併用療法はとても有効です。
5. 効果が出るまでどれくらい?
どちらの薬も1〜2週間で軽い改善を感じはじめ、4〜8週間でしっかりした変化 が期待できます。
すぐに効果を感じられなくても、継続
が大切です。「効いていないかも?」と思ったら無理せず相談してください。
6. 薬はあくまで“最適な選択の一部”
過活動膀胱の治療は、生活習慣の改善、膀胱訓練、骨盤底筋トレーニングなどを組み合わせることで、より良い成果が出やすくなります。
患者さん一人ひとりの生活や体質に合わせて、
最適な治療法を一緒に考えていきます。
