50代からの泌尿器ラボ【第2回】放置するとどうなる?前立腺肥大の合併症
こんにちは、きたじま腎泌尿器科クリニック世田谷烏山院院長の北島和樹です。
前回は「前立腺肥大症のサイン」についてお話ししました。
今回は、その症状を放っておくと何が起きるのか…というちょっと怖い話です。
前立腺肥大は“進行性”の病気
前立腺肥大症は、ほとんどが加齢に伴う自然な変化です。
でも問題は、症状がじわじわ悪化すること。尿の出にくさや夜間頻尿だけなら我慢できても、進行すると合併症を引き起こすことがあります。
💥 放置で起こりうる合併症
急性尿閉(きゅうせいにょうへい)
→ 突然まったく尿が出なくなる状態。痛みや膀胱の張りが強く、救急対応が必要になります。
膀胱結石
→ 残尿が多いと、膀胱内で尿の成分が固まり結石に。排尿痛や血尿の原因に。
尿路感染症
→ 残尿が細菌の温床になり、膀胱炎や腎盂腎炎を起こすことも。発熱・腰痛が出たら危険サイン。
腎機能障害
→ 尿の流れが長期間悪いと、腎臓に逆流してダメージを与えることがあります。
膀胱の筋力低下
→ 常に残尿状態だと、膀胱の筋肉が弱り、手術しても排尿力が戻らない場合があります。
まとめ
「まあ大丈夫だろう」と思っている間に、静かに進行しているのが前立腺肥大症。
合併症を避けるためには、早めの受診と定期的な経過観察が大切です。
特に夜間頻尿や残尿感が増えてきたら、迷わず泌尿器科へ。
次回は、「前立腺肥大症の検査ってどんなことするの?」についてお話しします。